松山市 T様邸
- 竣工年月/平成19年12月
- 家族構成/ご夫婦・お子様2人
- 工 法/ファース工法(木造2階建て)
- [ 取材日:平成29年8月5日 ]
- 1
- 2
家を建てようと思ったきっかけは何ですか?
ご主人:家を建てるなら、故郷の松山と思っていました。
奥様:結婚してから娘2人が産まれた後くらいまで5年ほど松山に住んでいましたが、その後日本各地に転勤していたんです。将来的には松山に戻ろうと思っていたので、両親の家からも近い土地を早い段階から購入して、そこにあった古い家を人にお貸ししていました。
次女が中学生になる頃は宮崎県に住んでいたんですが、そろそろ決めようかってことで動き始めました。
まず、どのようなことから始めましたか?
奥様:まず松山の工務店さんに話を聞いてみようと思いました。
住宅会社の情報はどのように知りましたか?
奥様:ホームページや、松山に住む私の父の紹介です。
ハウスメーカーさんは見に行かなかったんですか?
奥様:はい。結局、ハウスメーカーの家を実際建てるのは下請けの工務店さんというのは知ってましたから、中間マージンの分高額になるだけなので、ブランドではなく本当にきちんとこちらの要望を伝えて聞いてくださる、会社の規模があまり大きくないところにしたいと思っていました。
住宅会社選びのポイントは何かありましたか?
奥様:自然素材を使って建てている工務店さんですね。
あと間取りがゆったりしていること。小さな部屋がたくさんあるような、ちまちました間取りは嫌なんです。
実際に見積もりや図面までお願いしたところはありますか?
奥様:3社ありました。
1社目は自然素材と空気循環システムが特徴の工務店さんでしたが、循環するためのダクトにフィルターがなく汚れた空気が入ってくる可能性に気づき、考え直すことにしました。
2社目は設計事務所さんで、図面を書いてもらって話もかなり進んでいたのですが、そこでおすすめされた断熱材が羊毛フェルトだったんですね。コスト的にはよかったものの性能に疑問を感じたんです。
3社目の工務店さんは1度お会いしただけでろくに話も聞かないのに、さっさとパソコンで仕上げた図面を持ってきたんです。主人がそれを見た瞬間にダメって(笑)いわゆるパターン化した間取りで、嫌って言ったんです。
ご主人:なかなか気に入った工務店さんに巡り合うことができませんでした。
何社くらい見学されましたか?
奥様:松山に住んでいた頃は、私の母と一緒に住宅展示場の「パル」に行ったこともありました。
転勤期間には、松山に帰る機会がある度に工務店さんや設計事務所さんにお会いしたり、実際に建てた物件を主人と私の父の3人でたくさん見学しました。
その中で、腰板を入れたり木をたくさん使いたいという要望を伝えると、そんなに木を使ったらおたくの予算じゃできないって言われたりしました。父は早くどこかに決めたらと言ってくれたんですけど、主人が決めかねていたようで。
ご主人:どの家も同じように見えて、あまり好きになれませんでした。
奥様:当時は岡山県に住んでいたんですが、いつものように松山で見学を重ねていたある日、帰る直前に、主人が「うずくぼさんというところが気になるから行ってみたい」と言ったんです。
うずくぼ工房を知ったきっかけは何でしたか?
ご主人:住宅雑誌です。砥部の住宅展示場(モデルハウス)とFASの3文字が目に留まりました。今までに見てきた大手の工務店とは全く異なる方向性と、はるか昔に体験したかのような懐かしさと木の温もりを感じて、心に残っていました。
奥様:夏のとても暑い日曜日でした。岡山の自宅に帰る直前に、失礼を覚悟で突然作業場にお伺いしました。そこでは大工の河野さんが黙々とひたむきにカンナがけをしていたんです。
ご主人:事情を話すと快く専務の山本さんを呼んでくださり、展示場に案内していただいたんです。
うずくぼ工房の第一印象はいかがでしたか?
奥様:主人が一目で住宅展示場(モデルハウス)を気に入ったんです。木をたくさん使っていて、瓦など和風なところが印象的で、室内も涼しくて。山本専務の話を聴いたときに、ここで頼んでみたいと言ったんです。
うずくぼ工房を選んだ決め手は何ですか?
奥様:とにかくこちらのニーズを吸い上げてくださることと、木をふんだんに使っているところ、あとは山本社長をはじめ皆様の人柄もありました。
うずくぼ工房の会社の規模に不安を感じたことはありませんでしたか?
奥様:正直言って、事務所を見たときは大丈夫かなって(笑)。作業場という感じですからね。
逆に、自分たちが働く場所よりも、住宅展示場(モデルハウス)のようにお客様の目に触れるところを優先される姿勢に、何か潔さを感じました。
ファース工法について説明はありましたか?
奥様:最初はそんなに詳しくではありませんでしたが、説明は受けました。
ご主人:モデルハウスや住宅見学会でお聞きしました。
ファース工法について説明を受けたときどのような印象でしたか?
奥様:理想的だなと思いましたが、その時点ではファース工法にしようと思いませんでした。
熱交換器の詳しい仕組みや効能を理解できていなかったこと、東北地震が起こる前で今ほどエコが提唱されている時代ではなかったこと、住宅ローンを組むのが嫌だったので、おそらく建築費用が上がってしまうことが気にかかりました。
ご主人:その素晴らしさを力説される度に気になっていたのですが、まずは無垢の木の家に住むことにこだわっていた私たちには、工法の良さについて充分な知識を持ち得ていませんでした。それと専用部材の導入や設置コストを考えたときに、二の足を踏んでいたのも事実です。
うずくぼ工房の対応はいかがでしたか?
ご主人:ラフプランが固まるまでは、こちらの話をじっくりと聞いてくださいました。
奥様:山本社長や山本専務、設計士の方が、私たちの住む岡山県まで度々足を運んでくださったり、砥部の住宅展示場(モデルハウス)や中間地点の丸亀など、話をする機会をたくさん設けてくださいました。
ご主人:こちらの要望を取り入れていただき何度も図面を引き直す工程で、今思えばこの地道なやりとりが、うずくぼ工房さんへの信頼を確かなものにしていったように感じます。
奥様:この時点でもまだファース工法にしようとは思っていませんでした。
打ち合わせをはじめて1年くらいたったときに、山本社長が業を煮やして「ファースにしましょうよ」って言ったんです。温度差のない安定した家にご両親も一緒に住んだらって背中を押されました。
ご主人:住宅展示場(モデルハウス)での宿泊体験や実際にファース工法で建てられた方のお話を聞くうちに、ファース工法の優位さを実感したので、選ぶことにしました。
奥様:ファース工法にすると決めてからは、図面の変更はほとんどなかったです。普通なら寒くなりがちな吹き抜けも入れることにしました。
住宅展示場(モデルハウス)の宿泊体験はいかがでしたか?
奥様:住宅展示場(モデルハウス)には見学や打ち合わせや勉強会で行った際にその良さは体感していて、ファース工法にすることはもう決まっていたんですが、最後の一押しとして体験することにしたんです。
山本社長がファース工法ならではのエアコン設定をしてくださいました。布団もありましたが持参して、お風呂は使いませんでした。
ご主人:遮音性の高い断熱材のおかげで室内も静かですし、ほどよい涼しさで身体にやさしい感じがしました。木の香りが実に心地よく、とても落ち着ける空間でした。
奥様:夏の暑い日なのに冷房をガンガンつけたり蒸し暑いこともなく、空気がサラっとしていたので自然と汗がひきよく眠れました。
改めてファース工法の良さを体感できて、小上がりや収納や床の素材もじっくり見られたので、満足できましたね。
ご主人:ファース工法を取り入れようか迷っている方は、ぜひ住宅展示場(モデルハウス)の体験をおすすめいたします。
うずくぼ工房にはどのような要望を出されましたか?
ご主人:無垢の木の温もりを感じる、画一的ではない家にしたいと伝えました。
奥様:まずは木をたくさん使い、とにかく大きい柱をドッカンと入れて、地震とかに強いしっかりとした構造、そして外断熱で性能がいい家にしたいと伝えました。
「チルチンびと」という雑誌に掲載されているような、木を使った家に強い憧れがあったので気に入ったページをもとにしたイメージや、反面、コンクリート打ちっぱなしや洋館みたいな家にはしたくないことを伝えました。
雑誌にはいろいろな工法についても掲載されていたので、そこから色々勉強していたんです。日よけや雨除け、建物を保護するために、日本家屋には欠かせない庇の重要性についても山本社長と意見が一致したので、この方にならおまかせできると強く思いました。
うずくぼ工房の提案はいかがでしたか?
奥様:とてもよかったですね。
遠方にいながらも、1,2カ月に1度は要望がきちんと反映された丁寧な図面を持ってこられたり、電話やメールなどあらゆる方法できめ細かにコンタクトを取ってくださいました。
設計士さんもよく勉強された方でしたし、もちろん社長や専務さんもそうですけど、要望に対してダメって言わないですね。どの段階でも意思疎通が取れた素晴らしい図面で、主人はいつも眺めていましたね。あまり大きく変更することはなかったと思います。
こちらが考えもつかないようなことも色々提案してくださるんですよ。
山本社長が、経費を削減するためと言って、リボス(天然塗料)を塗る機会をくださったんです。主人と主人の友人が主に作業して、私と娘もほんの少し手伝いました。塗りムラもありますけど、家づくりに参加させてくださる山本社長の気遣いがうれしくて、家に対する思い入れもますます深まりました。
特にこだわった点はありましたか?
奥様:良質の無垢の木をたくさん使うことです。山本社長や大工の河野さんも地元の木に精通されている方ですから、心から信頼しておまかせしていました。
あと、ファース工法は性能上オール電化が基本ですが、どうしてもごはんとか土鍋を調理に使いたい、火を見ていたいという譲れない思いがあったので、キッチンをガス機器にしてもらいました。
将来的に車いすを使うことになったときのことを考えて、トイレやお風呂や脱衣所も広く取り、全体的に間取りがゆったりするように主人がすごく考えてくれたんです。
ご夫婦で意見が合わなかったことはありましたか?
奥様:全くないです。主人も私も木の家にしたいという思いを、同じイメージで共有していました。
工事中の現場はご覧になりましたか?
奥様:私たちは頻繁に行けないので、近くに住む父がよく見に行ってくれたんです。でも職人さんからしたら煙たかったと思いますよ。うずくぼ工房の職人さんは作業のひとつひとつがとても丁寧で、終わったらきちんと掃除をして帰る、あれは立派じゃねって、父がいつも言っていました。
私たちが行けなくても、職人さんを信頼していたので安心しておまかせできました。設計士さんが写真や進捗状況をメールで送ってくださいました。
職人さんとお話しされましたか?
奥様:はい。私の父もよく話していたようで、工事を見ながら気づいたところ、例えば階段の上り口ひとつひとつに滑り止めの溝を掘ってほしいなど頼むこともありました。
こちらの要望もきちんと汲んでくれて作業も丁寧なので、特に大工の河野さんには後々の工事もみんなお願いしたほどです。
もうちょっとこうすれば良かったと思うところはありますか?
奥様:あんまりないですよね。住んでから気づきましたが、トイレの戸が引き戸だからか、座ってる場所によってはトイレの音が聞こえてしまうんです。
あと居心地がいいのか、2階のベランダに鳥やコウモリが来るんです。ひと休みするだけならいいんですけど、フンがたくさん落ちているんです。頻繁にデッキを洗うこともできず、そのニオイが何かが換気口から上がってくるのか、家の中がすごく下水臭くなる日があって困っていたんです。山本社長や山本専務に見に来てもらいましたが決定的な原因がつかめなかったので、ひとまず排水溝の掃除を一生懸命するようにしたんです。
数年前から秋に干し柿を作り始めて干しているとメジロがつついてしまうので、その対策として2階のベランダに主人と長女がネットを張ってくれたんです。そうしたらその後からニオイがしなくなったんですよ。
やはり鳥のフンに原因があったのかもしれなかったですね。解決策が見つかってよかったものの、ベランダのことは全く想定していませんでした。
細かいことは、家具を置いてしまったあとにコンセントがここにあればよかったくらいのことはありますよね。
でも基本的なところで大きく後悔するようなことは、全くないですね。
お友達やご両親からの評判はいかがですか?
奥様:皆さんに好評です。
私の父は20年以上前に他の工務店で建てた家に住んでいますが、今自分の家を建てる機会があったらうずくぼ工房さんにするのにと言うほどです。新築はできないですが、段差の改修や引き戸の工事などをうずくぼ工房さんにお願いしました。
うずくぼ工房のアフターメンテナンスはいかがですか?
奥様:大丈夫ですよ、よく来てくださいますしね。何かあれば電話で伝えると、早くに対応してくれます。
漆喰の部分に掃除機なんかが当たると剥がれるので何とかしてほしいと伝えたら、大工の河野さんがあて木を貼ってくれたんですよね。無口な方ですが作業がとても丁寧で細かいんですよ。
今後うずくぼ工房に期待されることはありますか?
奥様:とにかくつぶれないでほしいです。うずくぼ工房さんの家づくりが長く継続してほしいです。
今働いておられる方も高齢になってくるので、若い方が増えて職人さんの層が厚くなると安心できるしうれしいです。勝手な意見ですけど(笑)。
大手のように画一的ではなく話をじっくり聞いてすすめてくださる家づくりや、こちらの気持ちを汲んでそれ以上の仕事をなさってくれる姿勢や真心、うずくぼ工房さんのチームワークの良さはずっと変わらずに続いてほしいです。
ご主人:全国的にファース工法で建てる方が増えることでコストダウンが図れると、ファース工法の良さを知っていただけるチャンスが広がるのでは、と期待しています。
これから家づくりをされる方にアドバイスをお願いします。
奥様:家づくりに対する気持ちや要望を、しっかり聞いてくださる住宅会社と出会うことだと思います。
それと、10年20年ではなくもっと先まで住み継ぐことや震災などを考えると、基本がしっかりした構造が重要だと思います。今の時代安く建てられるお家もあって、若いうちは仕方ないかもしれないですし、お風呂やキッチンなんかは後でリフォームすることができますけど、構造はやり直しができませんから。
私たちとうずくぼ工房さんとの出会いは運命的だったと思います。夏の暑いときに大工の河野さんが一生懸命カンナをかけていた姿や快く対応してくださったことは、ずっと忘れませんよ。
気持ちが伝わるので、遠方にいても信頼する気持ちになるんです。それは例えば大手ハウスメーカーのようなブランドにまかせるのとか違いますよね。そう思いますよ。
お住まいには満足されていますか?
奥様:はい。今でもたまに建築途中の写真を見返すと、当時の色々なことも一緒に思い出してとても感慨深いですね。
- 1
- 2